パチンコ店の設計をしていて、一番戸惑うのは、建築基準法と風俗営業法の食 い違いです。 建築を建てる許可は、建築基準法。建てた後の営業許可は、風俗営業法。 二つの法に同時に関わる為、法律同士の食い違い・矛盾に振り回される。 先ず建物の建設・・・建築基準法でOK、風営法でNO、という用途地域がある。 事業の第1歩、建つ・建たないの話です。 どう考えても、造って良いイコール使って良い、と思うが・・・「造っても良いけど、 営業許可は出しませんよ」?という事らしい・・・ 先日も、営業先で経営者が「増築したいけど道路から25メートルまでが、近隣 商業地域だが、奥が住宅地域で増築できないんですヨ」と嘆いていた。 このケースでも基準法上は、「用途地域が二つの地域にまたがる場合は、過半 を占める敷地の用途に従う」と、きめ細かく、法の運用に緩和規定が定められて いる。従って少し工夫すれば、このケースでも基準法上は、増築可能になる。 こういったケースはとても多く、風営法が少し基準法との整合性に気を使ってく れれば、随分土地が有効に使え、建物の増築が進み少しは景気に寄与するの に、残念。法の優先順位を決めれば、簡単に解決するのに・・・ しかしこういった、法律同士の矛盾・食い違いは誰が・何処が改めたり調整した りする機能を持つのだろう・・・国の仕組みに、無いのだろうか? 日本中回ってて、基準法の解釈に地域差は無い。 しかし風営法の解釈は地域毎に、微妙に違う。 病院や学校といういわゆる保護対象施設からの距離、フェンスを張る・張らない。 飲食店を設ければイイ・イケナイ・・・ 増築改築の既得権、柱1本の残せ・4本残せ・できるだけ残せ・・・ 面積計算も基準法は、壁心。風営法は、内法。内法計算に巾木が入ったり・入 らなかったり。・・・さまざまな見解が流れる。 どのケースにも共通するのは、風営法に細則が無い事だ(基準法は施行令で、 細則がしっかり定められている) 我々は解らない事があると、その都度経営者を通じて、所轄の警察署にお伺い を立てる。所轄は質問されると、県本部に振り判断を仰ぐ。 半ば本部の担当が「法の番人」化している。 こんなことも随分多くの無駄があると思う。細則を決めれば済むのに・・・ 細則が無いほうが、都合が良いのカモ? 一番傑作は許認可の申請に、照明器具の図面提出義務があることだ。 恐らくこの法を作った当時、暗い店舗内でイカガワシイ行為がなされていた業種 があり、それを背景に定めたものと思うが、こういった、時代に合わなくなった手 続きの改善も、誰がして行くのだろう。 イロイロ経験していく内に、「ナンデダロー?」が「慣れ」に変って来たが、どうも基 本的には建築基準法は、国民に建物を「造ってもらおう」という法律で、風俗営業 法は、施設を作ることも「トリシマロウ」という法律の気がする。 スタンスに性善説と性悪説に近いものを感じる。 しかしこの不況と規制緩和。 この分野でも随分やれる事は多いと思うが・・・ムリか? |
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