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 No.091          ポルシェとカローラ         2004.11.01

ポルシェとカローラ、どちらがイイ車でしょう・・・?

ヒットラーの命を受け、ドイツの国民車“フォルクスワーゲン”を開発した天才ポルシ
ェ博士が、魂を込めて設計し、世界中の車ファンから尊敬され続ける高級スポーツ
カー・ポルシェと、
“車後進国”日本のサラリーマン軍団が作った、凡庸の代名詞カローラ?

比較にもナランダロウ・・・誰でもそう思いますよネ・・・・・・・・・・・・・・・

私が運転免許を取った頃、初代カローラが誕生しました。洗濯機・冷蔵庫・TVに続
きカローラは幸せな家庭の象徴でした

浪人時代、金も無くストレスのうさ晴らしは、モッパラ本屋の立ち読み。漫画本の次
は車の本がお決まりコース、世界の名車の試乗レポートに毎月胸を躍らせ、その頃
誌上でポルシェに出会い、一目ぼれ・・・イツカハ買ウゾ!

さらに私が20−30才の頃頃、宮脇 壇というカッコイイ建築家がいました
ローコストだが衝撃的な住宅を数多く手掛け、建築雑誌の中では当時スター建築
家でした
彼の随筆の中で、「もし体力のある40才までに、ラブホテルの設計でも頼まれて、
思わぬお金が手に入ったら、ポルシェを買いたい」と言う文章が気に入ってしまい、
・・・オレも40才までにはポルシェを買おう!!と思っていた

そして40才の頃、偶然通りかかった三和自動車のショールームに、本当に何気な
く立ち寄った・・・
“乗りますか?”・・・助手席でポルシェの異次元の加速性能に声も出ず、さらに
“運転して見ますか?”・・・運転!・・・“運転お上手ですネ”営業マンの一言に完全
に舞い上がり

・・・恐ろしい事に、帰りには自分の所得も省みず、1500万円・25年の住宅ローン
を払い続ける身でいながら、当事でも1000万円以上した車を、妻に相談する事も
無く、“衝動買い”してしまったのです!!・・・今からもう17年前の事です

妻は、家計を顧みない夫の暴挙・愚挙を嘆き悲しみ、買った本人も後悔と懺悔の日
々・・・しかし全ては、後の祭り!開き直って、マスマス一生懸命働き、何とか5年!
ローンを無事完済しました
・・・(妻ガ嘆コウト)買ッタモン勝チ!
嬉しくて、嬉しくて、気分はF1ドライバー!・・・毎週のように山道を探し、速度を上
げるほど恐怖心が増す不思議な運転感覚に、1人で悦に入ってました

その頃、車雑誌の記事で、面白い論評を見ました
ポルシェとカローラの比較論です
・・・何を馬鹿げた事を・・・あの神々しいポルシェ様と、何のオーラも無い凡庸カロー
ラとの比較・・・ぶ、ブ、BU、無礼者!!!
怒り心頭であったが、タイトルの面白さにつられ読んで、人生ガ変わりました・・・!
!!

客観的に車を比較する為のあらゆるチエック項目を掲げ、優劣の○×をつけていく
のです
項目                 ポルシェ     カローラ
1  居住性               ×         ○
2  定員数               ×         ○
3  乗降性               ×         ○
4  静粛性               ×         ○
5  空調                 ×          ○
6  乗り心地              ×         ○
7  トランクの収容量         ×         ○
8  音響                 ×         ○
9  加速性能              ○         ×
10  最高速度              ○         ×
11  高速安定性            ×         ○
12  直進安定性            ×         ○

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ポルシェ敗れる!!!

20項目ほどの中で、ポルシェがカローラを上回ったのは、加速性能と最高速度ぐら
いで、他ほとんどの項目でポルシェの敗北であった・・・

1000万円もする我がポルシェが、100万円に満たないカローラに、趣味性ではな
く、客観的に判断すると負けている事は衝撃でした

そう言われて改めて、企業力としてポルシェとトヨタを見ても、カローラの販売台数
を見ても、トヨタ・カローラの圧勝です
そんなポルシェの購入体験が、企業として設計会社を経営していく上で方針の大き
な転換になりました
設計者は、ともすると自己顕示欲のはけ口のように、奇抜なデザインに走りがちに
なる
しかし企業として成長していくのなら、
一部の奇人変人相手の、“変人”であってはならない、
万人に愛される安定したデザインを提供し、卓越した技術力の元に、欠点の少ない、
使いやすい、基本性能の優れた建築を安価に設計する事が、設計会社の大きな使
命なのではと・・・“悟り”ました

カローラのように一見平凡に見えても、世界中の人々から愛される車を作りつづけ
るトヨタが今や世界第2位の車メーカーに上ってきたのは偶然ではないと思います

パチンコ経営に於いても、集客に繋がる多くの項目の中で、特定の単一項目だけに
突出せず、万編なく多くの項目で平均点以上を上げていくことが大事なのではと思
います

店舗作りにおいても、最近ローコストがまるで流行現象のように、天井をなくし鉄骨
を露出にした店舗が多くなったが、せめてカローラの様に、安価でもキチンと仕上げ、
空調も照明もどれをとっても、消費者に満足感を提供する店舗にしなければ・・・と
思う最近です


<後記>
ローンを無事に終えたポルシェは走行キロ数2万5000KMのまま、車庫の中で1
3年間静かに寝たままです
・・・いつの日か息子か孫に、乗ってもらえる日を、楽しみに待っているようです



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