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 No.101      「慇懃無礼」(インギンブレイ)       2005.1.17

最近のパチンコ店で気になるのは、丁寧な「挨拶」です
各社・各店舗、プロのマナーの先生を講師に招き、お辞儀の角度まで訓練を繰り返
し、シティーホテル顔負けの、マナーに励んでいます・・・

しかし本当に必要なのでしょうか?
本当にお客様は(現場の店員さんは・・・)それを望んでいるのでしょうか?

店員さんが深々とお辞儀をして頭を上げた頃には、目の前にお客様はいない(笑う
に笑えない)光景をよく目にします・・・

“慇懃無礼”(インギンブレイ)と言う日本語があります
「度を越えた丁寧な言動は、相手に失礼になる」と言う意味で・・・いやな相手に
対してあからさまに嫌悪感を表明できない時にも使われる高級テクニック?ですが、
昨今のパチンコ店の丁寧な挨拶を受ける度に、私はこの“インギン無礼”の言葉を
思い出します

ウガッタ見方を承知で言います、“負けるお客様への、せめてものお詫び”に見えて
ならないのです

高級ホテルは本当にこんなインギンな挨拶をしているのでしょうか?

再三登場する、“ミラノ事務所時代”での体験ですが・・・
世界中のお金持ちから熱烈な支持を受けている“フォーシーズンズホテル”!
ミラノのフォーシーズンズホテルに、ミラノ滞在中は頻繁に行きました
・・・泊まったんではありません!一泊7−8万円もします!私にはとても無理です
(その頃、長崎のK社のY社長をミラノに案内したのですが、Y社長は何と5連泊!)

私はただモーニングコーヒーを飲みにいくだけです・・・ラウンジでコーヒーを飲むだけ
でも実にリッチな気分になれます

もしお金持ちに成れたら真っ先に行ってみたい素晴らしいホテルです、
昔の修道院を改装した、クラシックさとモダンさが同居しているイタリアにしか存在
しえない本当にかっこイイホテルです
イタリア映画のシーンの中に自分が紛れ込んだような気分になれます

このホテルのマナーは世界で超一流と言われます

ホテルの従業員さんは誰も日本のパチンコ店のようなインギンな挨拶をしません
チョット笑みを浮かべ、
“ボンジョルノ”と簡単な挨拶しながら、目で“ヤア元気?今日はイイ天気だね!楽しい
一日になるといいネ”とでも言っているような
実にナチュラルでフランクな気持ちの良い挨拶をします(してくれます)、超高級ホテ
ルでありながら、イササカの緊張感も、お客様に強いません

彼らは勿論私が“コーヒー客”である事は承知ですが、宿泊客と同じマナーで接して
くれます
どうしてこんなに気持ちがイイのだろうか考えてみました

・・・私の結論は“心”と“誇り”だと思いました
勤務しているホテル・職業に対する“誇り”が原点にアリ、心から、“ウチのホテルに
来てくれて有難う!楽しんで行ってネ”と語っている気がします

日本人はマニュアル好きです
パチンコ店のマナーも多分マニュアル化されているのでしょう

マニュアル化の過程の中に置き忘れた“歓待の心”なきマナーは、どこか空虚な味わ
いがします

“丁重すぎる挨拶”をもう一度考え直しながら、自社の“誇りの構築”について考えて
みませんか・・・?




15世紀の修道院を修復して作られた
Four Seasons Hotel Milano には、手入れの行き届いた
美しい中庭を囲む118室のゲストルームとスイートが
あります。
ゲストルームは、歴史ある建築物にイタリアの
コンテンポラリーデザインを見事に調和させたものです。









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