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 No.130            別荘の設計        2005.8.31

事務所開業以来約28年、過去色んな種類の建物を設計をして来ましたが、一番
困ったのが“別荘の設計”でした

そもそも、何故お金持ちが別荘を持ちたがり、わざわざ不便な所に建つ、別荘に
行くかが、田舎に住んでいる私には理解出来ません
私は休暇が取れたら都心のホテルに宿泊し、都市の便利さを享受したいと思うほ
うなので、余計“別荘ライフ”のイメージが湧かないのです

しかしプロとして“設計デキマセン”なんて口が裂けても言えません

困った私は
“小説家に変身”して、別荘ライフ物語を書く事を思い付きました・・・
お施主さんは私とホボ同年代であったので

主人公の男性は、“私”(願望)
・・・ロマンスグレーの渋い・(めちゃモテル)中年・筋肉質・お金持ちの事業家・独
身(・・・こんな男いる訳ないか?)
彼女30−35才(この位の年令が好み?)
車はジャガーのオープンカー
後部座席には“名犬ラッシー”(犬の名前はこれしか知らない)
・・・ダンダン現実と遊離してきた!(・・・自分でシラケル!)

途中、コンビニによっておにぎり・缶ビール・おつまみ・・・なんか買いません!
別荘にはシェフとヒツジが用意して待っているのです

別荘につくと、クラクション2回・・・門は自動開き!
着くと二人は、ドライブの汗とほこりを取る為に先ず、プールで一泳ぎし、バス
ロブに体を包み、プールサイドに用意された冷えた“シャンパンで乾杯”し、木
陰で一眠り

だんだん3文(エロ)小説風になって来た!
これ以上前に行くとベッドシーンになってしまいそうで書け無くけなくなって来
たが、ココまでで十分だった

開眼したんです・・・別荘ライフのイメージに!
別荘は“非日常空間”!普段と反対の生活をする場だと
普段は、屋内生活・・・別荘は、屋外生活
普段は、服を着ている・・・別荘は、裸(では恥かしいから、上半身くらいか)
普段は、昼まっからビール飲まないから、別荘では昼まっから“シャンパン”

ココまで決まればもう後は早い!
場所は知多半島の漁港近くの小高い丘の上

かまぼこ状の2棟を、フラットルーフの箱でコノ字形に結び、その間の屋外スペ
ースを木製デッキで床を仕上、部屋と連続的に屋外生活を堪能出来るプランを作
成!
素晴らしい案が出来た!

設計は順調に進み
最後にキッチンの話しになりました・・・
何処のメーカーにしようかの議論中、奥様はハットとしたように

“近くに、おサシミなんか届けてくれるお料理屋さんないのー?”
“田舎にそんなもん有る訳ネーダロウー!”
“ジャーお料理誰が作ンノヨー?”
“オメーに、決まってんだろう!オレ料理なんか出来ネーヨ”
“エー私が作ンノー?私、家で毎日お料理作って、別荘行ってまた作んじゃー何
しに行くのヨー?・・・イヤヨ!・・・私、もう別荘要らないワヨ!”
“勝手にしろ!”
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・THE END!

80%位仕上がっていた別荘の設計は“没”

夏になるとコノ夫婦の議論?を思い出す
別荘にキッチンが必要か否か?料理は誰が作るのか?私には結論が出ていない!

自分の別荘を持ったら、解るかもしてない・・・しかし私は別荘は要らない
・・・もしかしたら、私が料理作らなければならない気がするからです・・・?



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