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経営不振
↓
自力再生可能
↓NO
私的整理可能
↓NO
法的整理可能
↓NO
清算 |
YES
→
YES
→
YES
→ |
自主再建
私的整理
法的整理
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1. 自力再生
経営不振に陥った会社が最初に取り組むべきことは、当然のことですが、外部
の債権者等にできるだけ迷惑をかけず、自力で再生することです。
2. 私的整理
会社が自社のリストラ努力だけでは再生の目途が立たず、外部の協力を得な
ければ再建できないことが明らかになった場合、検討するのが私的整理です。
私的整理は、メインバンクや親会社等の支援する債権者による債権放棄、金
利の減免、支払期日のジャンプといったことによって、会社の再生を支援する手
続です。
大口債権者からの支援が約束されている場合であれば、指摘整理は比較的
スムーズに遂行できます。しかし、そうでない場合は、債権者間の調整ができず、
不調に終わってしまうことが、よくあるパターンです。
指摘整理の場合、秘密裏に行われてしまうことが多く、その手続も透明性にか
けるため、最近では特定調停手続を簡易裁判所に申し立てるケースが出てきて
います。
債権者が比較的少数で、事業再生に賛同が得られやすいと見込める場合であ
れば、特定調停の制度を利用することが、時間的にもコスト的にも負担が軽いの
で、優先的に適用することを検討するべきだと考えられます。
3. 法的整理
法的整理には、民事再生・会社更生・会社整理(商法上)の3種類があります。
(1)特定調停手続とは
「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」のことを略して「特
定調停法」と称しています。この手続は、民事調停の特例として平成12年2月17
日より施行されています。
特定調停法の目的は、法第1条で次のように定められています。
第1条 この法律は、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に
資するため、民事調停法の特例として特定調停の手続を定めることにより、こ
のような債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを
目的とする。
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特定調停法は、支払不能に陥るおそれのある債務者や支払困難となっている
債務者の経済的再生を図るための調停手続について定める法律です。特定債
務者の経済的状況が回復困難な状況に陥る前に、その経済的再生を図るため
に定められた手続です。
また、債務者は、個人だけでなく、企業も調停を申し立てることができ、さらに、
複数の債権者が存在すること(多重債務)は要求されていないなど、利用しやす
い配慮がなされています。
この特定調停法の最大の特徴は、調停手続中に裁判所が民事執行手続を無
担保で停止することができる点にあります。
民事調停制度を利用して、多重債務者が、債務弁済協定の民事調停を申し立て
た場合、債権者が、債務者の給料や預金口座を差押えることがあります。その
結果、債務者はその差し押さえを停止させるための保証金を積むことができず、
破産に追い込まれる事例がよくありました。
そのため、債務支払いが困難な債務者が弁済方法の変更等を求める調停を
申し立て、かつ特定調停を選択した場合、一定の要件の下に、債権の差押え
等の民事執行手続を無担保で停止することができます。
ですから、通常の民事調停制度よりは、この特定調停を利用することにより、破
産、清算の方向での整理を回避して、債務の弁済協定を結んでいくことが、容
易になりました。
特定調停法は、本来、多額の債務を抱える法人や個人の倒産、破産を回避
するため、裁判所の調停のもとで、債務者救済策として当事者間の合意を促
す制度です。しかし、特定債権者全員の合意がとれる見通しがあれば、大企業
でも適用することが可能です。
民事再生法を申請すれば、倒産という扱いになりますが、特定調停であれば
“倒産”とうは扱われませんので、会社の信用の毀損が少なくてすむというメリッ
トがあります。
特定調停と民事再生はいずれも経済的窮境に陥った債務者を救済するため
の手続きで、平成12年度より施行されている、比較的最近制定された手続きで
す。いずれも債務者の経済的再生を図るという目的は共通しています。
特定調停手続は民事調停手続の特例措置という本質から、当事者間でも協
議を最優先するものです。これに対し、民事再生手続は、裁判所の監督下での
再生手続ということから、すべての債権者の公平さの確保が要請されていると
いう点で取扱いに差異が生じています。
民事再生手続は、再生手続きの公平さ、透明さを確保する必要性から、以
下の問題点があります。
● 申立てを債権者全員に知られるため、信用不安等が表面化する
● 原則として、すべての債権者を形式的、画一的に取り扱うため、体力の弱
い債権者が連鎖倒産に陥る危険性がある。
● 再生債務の返済期限は10年以内と定められている
特定調停手続では、債権者を選別して手続きを進めることができます。その
ため、メインバンクや親会社などの体力のある特定の債権者だけを取り込ん
で、債務の弁済計画を話し合うことができます。このような方法をとれば、上記
した民事再生手続きの問題点を回避することが可能となります。
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