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新聞紙上で、毎日のように“橋梁談合”が騒がれています 幹事役の会社からはトウトウ逮捕者まで出て、会社を思い職務を忠実に果した“社員さん” には労いのしようもない! 識者はTVで、シタリ顔をして“これにより国の貴重な税金が**億円無駄に使われたと 語る” ・・・本当に談合は悪でしょうか?(・・・民間工事での談合は勿論悪ですが・・・) 性悪説的に語る識者は何処まで、建設業界・発注・談合の仕組みを理解しているの でしょう? 30年も前のサラリーマン時代の体験で恐縮ですが、“仕組み”は昔も今も大きくは変わって ないと思います 官公庁工事の発注は、国が定めた“建設省単価”なる全国統一の“適正単価”をベースに、 設計完了後、第三者の積算会社が見積り、“発注予定価格”が決められます そして見積り発注時(私が経験したケースでは)第三者が積算した見積表から単価だけを 白紙にした“金抜き表”を参加業者に渡し、見積り・入札をさせました 建設省単価は、本来は発注者及び設計者側しか知らない筈ですが、当然ゼネコンは入手 しています したがってどの業者が見積もっても、数字はほとんど同じになります・・・当り前ですネ 落札率が予定価格の99%だから談合している!けしからん!と騒ぎますが、談合は主に 落札業者を“民主的”な話合いで決める為のもので、価格を不当に吊り上げる場では ありません 適正価格は既に発注者側により、既に決められているのです 民間工事では“建設不況”になると、自由競争の名の元に“叩きあい”が行なわれます 建設会社の建築課は、営業・積算・現場に分かれており、営業の方は設計事務所を丹念に 廻り、“指名”を取ります そして指名を頂き見積りに参加すると、競争相手企業名を調べ、過去の勝ち負けのデータ から、どの位の“値引き”をしたら1番札を取れるかを予測します・・・取ると決心したら、原価は ほとんど無視!取るためにはどのくらい値引きすればよいかの判断だけです 会社の年間目標の数字を達成するには背に腹は変えられない・・・悩む所です こうして原価(見積り)を無視した受注が成功?し、現場担当者へバトンタッチされます バトンを受け取った“現場主任”は改めて図面・見積書・契約書(受注金額)を見直し、顔が 青ざめ、馬鹿な数字で受注した営業を罵倒しますが、全ては後の祭り! 生真面目な現場主任は、協力業者(下受け)・メーカーと値交渉の日々が続きます しかし元々赤字覚悟の現場が簡単には黒字化しません・・・しかし会社思いの現場主任は、 時には“知恵”を使う・・・禁じ手・・・通称“手抜き工事” 建設業は驚くほど多くの人々が関わり合う業種です 思い付くだけでも、土木・型枠・鉄筋・鉄骨・トビ・外壁・軽量下地・ボード貼り・塗装・木工・ 金物・建具・家具・左官・タイル・クロス・電気・照明・空調・給排水・・・etc メーカーまで書けばここに書き切れないほどです 元請さんは、談合が成立し、適正な黒字価格で受注できても、自分だけで利益を独り占め しません、長年苦楽を共にしている協力業者・下請けさんにも分配します そうやって親分(元請業者)は多くの人々の幸せな家庭を維持しているのです それと建設業社は官公庁工事だけで食っているのではありません、当然“叩きあい”の 民間工事もやってます 設計事務所の監理者の目を盗んで、そうは簡単に“手抜き工事”は出来ません 赤字受注の穴埋めにも、此処の利益は補填されます そうやってヤリクリ算段して、建設業界は生き延びてきたのです それでもし利益が出れば、お金は“スイス銀行に送金”されるのではありません、国税・ 市県民税で、お国に還元されるのです・・・元に返っていくのです 批判を承知で言います “談合は日本の生み出した文化です” ・・・昔から言うじゃないですか“カネは天下のマワリ物”って あえて誤りを言うと新規参入業者を排除してきた事です 談合を否定するなら、それに代わる適性価格での発注の仕組みを作らないと、多くの ゼネコンは倒産し、ますます不況は長引き、不幸せな家庭が増えることは間違いない 何でもかんでも自由競争が正しいと言う“米国性善説的発想”を見直しましょう |
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