>前号 バックナンバー 次号<

 No.144      設計施工での発注は止めよう      2005.12.06

“姉歯事件”事件の余波はまだ収まる風も無く拡大を続けている

マンションは、凄腕の社長が率いる販売会社
ホテルは、カリスマ経営コンサルタント
の存在が被害を増幅させた感があります

何度も言いますが、事件の1番の本質は、“設計施工”もしくは実質はそれに近い
状況で工事が行われた事に問題があります

設計と施工を同一の企業が行えば、たとえ設計が正しく行なわれていても、チェ
ックする仕組みが実質ない以上、事故の起きる可能性を内在します
いくら大手ゼネコンでも利益のカギを握っている“現場”の声が主流では、利益
の御旗の前には設計部の“良心”はぐらつきます

結論から言います
“設計施工で建築会社に発注するのは止めましょう!”

“設計施工”は、本来禁止のはずが、建設会社が一級設計事務所登録をしたり、
下請けで設計事務所を使えば問題なくなります

今回の事件の大半は、木村建設がヒュ−ザーやホテル経営会社から、設計施工で
請負い、意匠設計事務所を下請けに使い、本来は元請けの意匠設計事務所が発注
権限をもつ構造事務所を、指定した所に問題があります

設計事務所が建築会社の下請けで図面描けば、建築会社の“顔色”を見ない訳に
は行きませんし、良質な建物が健全に作られる仕組みが出来ません

“設計料が勿体無い”と言う人がいますが、たとえ建築会社に設計者がいようと、
いないとに関わらず、設計費用は発生します
(僅かな)設計料を惜しんで、孫の代まで使える建物を不良品にするのは賢い行
為ではありません

店舗・自宅・自社ビル等どんな小さな物件でも設計事務所は喜んで設計します
設計者の殆んどは、建築が好きで好きでしょうがない人ばかりです

設計事務所は、経営も勤務する社員にとっても決して“割のイイ”商売ではあり
ませんが、それでも続けているのは心(真)から好きだからです

心から好きな職業を、金銭だけで割り切って設計する人はいません
設計事務所は、生涯を賭けて“名建築”を作って見たいと夢見る人の集団です

大分前にも言いましたが・・・
顧問弁護士さんは、会社を法的に守ります
近所のかかりつけのお医者さんは、あなたの健康を守ります
人生で最も大金を使う建築投資に、大事な資産を守る“顧問設計士”がいないの
が不思議です

もしいたら、あなたやあなたの親戚がマンションを購入しようとする場合でも、
的確にアドバイスをしてくれます
悪質なリフォーム屋からも、あなたの家を守ってくれます

今回の事件で
設計士が、クローズアップされ、建築を伴う事業における設計事務所の役割が正
しく理解される事を期待したいと思います



>前号 このページトップへ 次号<