No.167 「住民反対運動と確認申請」 2006.05.29 |
設計の仕事していて、一番辛いのは“住民の反対運動”
特に我々が特化しているパチンコ店の設計において、年々増加している気がする
都会では、
建物高さが10Mを越えると、多くの都市では日影規制という法の適用を受け、
近隣住民に建物概要・日陰状況の戸別説明義務が生まれる
パチンコ店が建つと解かると、住環境の悪化に不安を感じた近隣住民は、戸別説
明より全体説明会の開催を要求し、説明会が発端で、本来の日陰の問題ではなく、
パチンコ店建設反対運動になって行く・・・
また地方では
農業用水路が多く、その水路に店舗で発生する“生活用水”の排水に、水利組合
の印が必要になり、印は組合長の独自判断だけでは押せず、説明会を開催すると、
ヤハリ本来の水利問題を離れ、パチンコ店建設反対運動に発展して行く・・・
反対運動の度に、我々は駆り出される
本心は設計業の“業務外”と思うのだが、実際はそんな訳にも行かず
住民説明会で設計説明をする事から、ダンダン深み?に入って行き、いつの間に
か矢面に立って行かざるを得なくなる
住民は、役所に泣きつく・陳情する
しかし・・・法がある・・・もちろん適法!!
住民の反対運動はあれ、提出された確認申請を、役所は拒む訳にも行かず、建築
確認申請は受理され、建築基準法上の違法性が無ければ、確認申請はチエック後
降ろされ
工事会社は着工し、完成しオープンする
最初は、断固反対!姿勢の住民運動も、適法下の反対運動の限界を知ってか?
回を重ねる毎に、参加者は減少し、
最後は町内の役員さんと、店舗に極近い住民さんが残り、条件闘争に変わって行
き、工事期間中の問題・開店後の交通問題等の詳細議論になって行き“協定書”
を交わして終結する
私は、“もしも自分の家の横にパチンコ店が出来たら、実際はたまらないだろう
なー”と思うと、根が優しい?せいか、とても心が痛い・・・
自分が、この分野で飯を食わして貰っていて、不謹慎と思いつつも・・・
こうした問題を通じて、日本の民主主義とは何だろうか?とよく思う
本来は、国民の幸せな生活を守るはずの法が弊害になり、住民運動は法の前に無
力化する・・・
規制緩和が叫ばれている今
耐震疑惑事件が大きな社会問題化している今
日本の建築基準法・都市計画法は根本的に作り変えるべき時期に来ていると思う
恐らくパチンコ店もまだ商店街の一角に、細々と経営していた頃に法が作られ、
今のように1000台とか2000台の巨大店舗時代を想定していなかったせ
いであろうが、法と現実のギャップがどんどん広がって行く
時々映画館(シネコン)の設計をする事もあるが、一番笑えるのは
映画館は、準工業地域と商業地域にしか認められていない
推測に過ぎないが・・・昔の映画館はステージがあり、時々女性の“**ショー”
が行なわれていた
その時代の名残が未だに残り、住宅地域系から排除し、住民のほとんど住まない
都心部の(歓楽街の)商業地域だけに許したのだと思う
最近、終戦直後に作られた、教育基本法の改正が議論されているが、(建築基準
法も含めて)多くの法律が“賞味期限切れ”の気がする
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