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 No.177           「着陸できない飛行機」      2006.08.07

先日、新店舗の打合せをしていた時、若い依頼主が、
“先生、パチンコ業は離陸したら、着陸地点の無い飛行機みたいなモンですよ”
と語っていました
経営者の年令と、達観した比喩との落差が面白く、記憶に残りました

恐らく、1店舗でも経営し出したら、平穏無事な人生は待っていなく
・・・運良く成功しても、やがて必ず出現するライバルの登場で、競争の渦に巻
き込まれ、利益は下がり、苦難が始まり、挽回の為にもやがて又新店舗を出店す
るか、店舗改装せざるを得なくなり、再び借入金は増加しリスクは増えてゆく

流行らなければ、衰退・廃業・倒産の道をたどる
・・・と言う“終わり無きゲーム”状態を指しての発言と思うが、妙に納得が行く

彼の言う“着陸”は、世間一般の業種のように、出店して一生懸命に働いたら、
やがて無借金になり、平穏で穏やかな経営環境になると言う意味だと思うが

<経営に安定は無い、有るのは成長か衰退だけ>
と言われるが、パチンコ業界はこの言葉を地で行く商売と思う

パチンコ業の辛さの本質は、
傍で見ていて思うのは、既存店舗の売上の減少です

パチンコ業の7不思議の一つは、多くの店舗は新築オープンした頃が、売上・利
益とも最高で、半年位はなだらかな上昇曲線を描き、2年位はフラット区域に入
り、(店舗により時間差は有れ)3年目位からは、明らかな下降曲線区域に移っ
てゆく

そして下降曲線でも“軟着陸ゾーン”があれば救われるが、“下値安定”も無く、
危険ゾーンに入ってゆく店舗も多い

傍で見ていて思うのは
この下降曲線に入る直前には“手”を打って欲しいと思うのだが、多くの店舗は、
なすがままに放置される

我々の思う“手”とは・・・設計者の立場から提案すると・・・
丁度この頃、店舗は“劣化”し出す
いくら空調環境を整備しようと、“ヤニ”は防ぎ切れない
このタバコのヤニで劣化した店内と、紫外線・雨で色あせた外装を塗装(もしく
は洗浄)するだけです

不思議なもので、毎日従事している社員さんは気が付きにくい
また経営者さんも、一旦店舗が開店すると意外なくらい、現場に顔を出さなくな
り“劣化”に気が付かない

色を変えてもコストは同じ
設計者からは“劇的”に変える自信はあり、各店舗の年商・利益から思うと大し
た費用の掛かるものではないと思うのだが、なかなかやって貰えない

一番の問題は、いくら小規模と言っても足場を組んで養生し、塗装し、再び足場
ばらしをすると頑張っても3日間位掛かかり、この3日間の売上・利益の損失を
気にする事だと理解はするが
・・・3年に1回です!
全店舗をスケジュール化して行なって欲しいと思います

是非この“売上曲線”をグラフ化し、“下降曲線”になる前に“手”を打つ事を
お勧めします
下落ゾーンに入った店舗再建の難しさを十分理解しているからです

昔から
“攻撃は最大の防御”と言うじゃないですか!
改装を防御でやってはいけません!
やはり攻めで行いましょう!



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